誰かの役に立つのなら
心に残るエピソードと実践可能なアドバイス
著者
後輩Mに自叙伝の製作を話してから2か月後……
おーい。
この前話した自叙伝の第1部が書き終わったんだけど、読んでみるか?
ちなみにこれは俺の生い立ちから息子が生まれるまでの話だ。
ホントですか!めちゃくちゃ楽しみにしてました!
わかった。わかった。
そんなに楽しみにしていたとはな。
お前はいい奴だなー。
あまり急かすとよくないので、早く読みたい気持ちを抑えていましたよ。
執筆活動お疲れ様です。著者どの!
著者!そんな著者だなんてやめてくれよ。
本を書く人のことを著者というんです。
まぁ、そりゃそうだけど、俺はド素人なんだぞ。
自分にとって本というものは、どれだけ心に刺さるか!だと思っているので、プロとか素人とかはあまり関係ないんですよね……
そっか、それなら自信はあるけど、これ実際に書いてみたら、かなりきつかったぞ……
文章を書くというのは大変ですからね。
それも本となれば尚更ですよね……
いや、そうじゃなくて、俺は子どもの頃にトラウマがあってさ。
それがフラッシュバックして気持ちは沈むわ、睡眠障害は出るわで大変だったんだよ……
まさか、そんなにですか!
それじゃ、読むにも覚悟が必要ですね……
読み手に覚悟が必要かは分からないけど、俺には曝け出す覚悟が必要だったからな。
でも、生い立ちがそんなに大変だったら子育てだけを書けばいいんじゃないですか?
お前なぁ、ちっとも俺のことを分かっていないじゃないか!
一体何年一緒に仕事してるんだよ。
今年で3年になります。
案外短かったな……
ま、いいや……俺がやってきた子育ては単純じゃないんだ。
俺の苦悩がなければ成立しないし、その苦悩は過去からきているんだよ。
だから生い立ちから話をしなかったら意味を成さないんだよ。
分かりました。
コバフミさんの過去に何があったのか?非常に気になりますが、しっかりと読ませていただきます。
うん。10万字ほどあるから読むにも時間が掛かると思う。
慌てずゆっくりでいいから、しっかりと読んでみてくれ!
はい、それじゃ、これ原稿な。
ありがとうございます。じっくり読ませてもらいますね。
号泣
第1部の原稿を渡して3日後……
コバフミさん。
読ませていただきました……
え!?もう読んだの?
お前、ゆっくりでいいって言っただろ!
話を聞くと、原稿を渡した当日の夜11時から読み出し、朝の3時までぶっ通しで全部読んでしまったらしい。
すみません。
表紙をめくって見出しを見たら最後。
手が止まりませんでした。
で、読んでみてどうだった?
ハッキリ言います。
【壮絶】この言葉以外ありません。
もう、自分の想像を遥かに超えてましたし、素人なんて言って本当にすみませんでした。
全然構わんよ。
それより、普通に読めたんだな。
本んとして成立してるかな?
自分じゃ、よく分からないんだ……
少なくとも自分が読んでみたかぎり、普通に本でしたよ。
そう言ってもらえて何よりだ。
で、読んでみた感想はどうだった?
もう、号泣しましたよ。
また、また、お前も大げさだな。
いや、これホントなんですよ。
実はまだ読む気はなかったんです。
しかし、妻と子どもが寝静まってから自分の部屋で原稿を眺めていたら、なぜか表紙を開いてしまって……読み進めていくと涙が溢れて……止まらなくなりました。
そっか、お前も感情移入してしまったんだな。
俺も泣きながら原稿書いてたからな……
やっぱり泣いたのは幼少から小学校だろ?
分かりやすく伝えたい
おっしゃる通り、あの辺りは特にヤバいですが、全体的に考えさせられたり感動が散りばめられてて、どれも良かったです。
あと、文章が分かりやすくて読みやすかったですよ。
お、嬉しいねー。
俺が意識していたのは、いかに分かりやすく伝えられるかだったから、そう言ってもらえたのが一番嬉しいかもしれないな。
というのは?
だって難しい言葉で書かれている本って見ただけで読む気が失せるだろ?
これは俺がバカだからかもしれないけど、難しい言葉って伝わらないんだよね……
まぁ、確かに難しい言葉が並んでいると読み進めるのが大変ですよね……
そうそう、難しい言葉を並べるより、伝えることが重要だろ?そのためには、小学生には難しくても、中学生なら読める。
そんな文章が書けたらいいなと思ってさ。
あ!そっか、だからコバフミさんのはストレスなく一気に読めたんだ。
大事なのは【自分の世界観を伝えること】だろ?
まぁ、そもそも難しい言葉なんて、俺には使えないんだけどさ……
でも、俺はそういうコバフミさんが好きなんですよ。
この本にしても普通は隠したがるところなのに、むしろ心の声として主張してくるから、グイグイ入ってくるんですよね。
起きた出来事だけを延々と聞かされたってつまらないだろ?
むしろその時々に何を考えどう思ってきたのか?
そこを伝えられなかったら意味がないと思うんだ。
もう。それこそがコバフミさんの良さだと思います。
そして、俺はこの世界観がたまらなく好きになりました。
第2部の子育て編も楽しみにしています。
もう、お前は欲しがりだなー。
それはそうですよ。
ウチだって、子育てに良いものはどんどん取り入れたいですから!
そして、ここから7か月後に第2部の途中になる小学校卒業までを見せると、Mはこう言った。
成功者の話を読ませてもらえて良かったです。
自分は子育てに対してここまでの考え方はありませんでした。
手遅れになる前に、大切なことを教えていただいて感謝しかありません。
そっかー、お前は気付けたんだな。
お前は俺に比べて頭がいいし、良い父親になれるよ。
子育てに良い影響を与えることができたのなら、こんなに嬉しいことはない。
子どもには未来がある。
その未来をお前が切り開いてやるんだぞ!
やることはハッキリと分かりました。
コバフミさん親子のようになれるかは分かりませんが、頑張るしかないですね。
ウチを目指す必要なんてないだろ?
俺は俺、お前はお前だ。
父親として、子どものために必死になり、苦しんで悩み抜け!
それが子どもの未来に直結するんだからな。
本を書くと初めて聞いた時は懐疑的でしたが、むしろこの本のおかげで以前より子育てに関わるようになったので、妻からも喜ばれるようになりました。
本を書いてくれて、本当にありがとうございます。
書いてくれてありがとうございます……
本の書き方なんて何も知らない俺の文章が役に立ったのか?
伝えたい一心で書いてきたことに間違いはなかったのかな?
Mは俺よりも遥かに頭がいい。
そんな人間から言われた【ありがとうございます】という感謝の言葉は、俺という人間がやっと社会の役に立てたという何よりの証拠になった。
Mとは現在も一緒に仕事をしているが、毎日俺から聞かされる子育て論が一番ためになっているようだ。
当たり前だが、本で読むよりも実際に話を聞く方がより理解が深まる。
そして、俺にしてもMや会社の後輩から聞く話でためになることが多い。
成長の幅を息子と比べるのもおこがましいが、こんな自分でも昨日よりは確実に成長している。
残りの人生で、一体どのくらいの人と関われるのか分からないが、聞いてくれる人達に自分の経験やノウハウを伝えることで、今より少しでも明るい未来へ近付けるよう、俺も精一杯やれることをやりたいと思う。