子どもから勉強する理由を聞かれた時は何て答えましたか?
人間は楽を求める
二つ目の実例
私は49年間ずっと借家暮らしをしていますので、それはそれは多くの住人を見てきましたよ。
1年も経たずに引っ越しする人もいますし、10年以上住んでいる人もいます。
とても良い人で仲良くしてくれた人
あいさつ程度の人
住んでいても全く見たことがない人
ちょっと変わった人
常識が全くない人
深夜2時に網戸1枚でゲラゲラ大笑いしている人
夜中に慌ただしく何かやっていたと思ったら翌日いなくなっていた人
本当に子どもの頃からいろいろな人を見てきましたし、たくさんの出来事がありました。
その中に、こんな人がいました。
そのお宅には6歳の子がいまして、来年小学生になるのを期に引っ越しを考えているという話だったんです。
子どもが小さいうちにマイホームを建てるから引っ越す。
よくある話ですよね。
そのような話は別に珍しくもなんともないのですが、この方は
【ここだと小学校が遠いから、近い場所に引っ越す】
という理由だったんです。
まぁ、自分の都合で引っ越しできるのが賃貸の特権でもありますからね。
確かに学区内の小学校までは約2キロほどありましたので、決して近くはないですし、気持ちは分かります。
どう考えるかなんて個人の自由です。
ここから学校までは、子どもの足で3~40分は掛かりますかね?
え!?3~40分もかけて毎日通うの?
しかも6年間でしょ。
無理!無理!
だって大変じゃん……
これ、子どもではなく、あなた(親)の考えですよね?
私にしたって職場まで毎日3~40分かけて歩くとしたら「大変だから車で行こう」となりますよ。
だって、楽なほうがいいですから。
本当だったら、健康のためにも環境のためにも歩いた方がいいに決まってるんですよ。
でも、自転車、バイク、電車、バス、車などの交通手段を自分の環境に合わせて選びますよね?
なぜでしょうね?
利便性への依存
それが現代社会だからです。
社会というものは人の生活を豊かにしようと発展してきました。
【もっと便利に、もっと快適に】を求め続けて今があるんです。
利便性を高めることは、時間の節約や労力の軽減に繋がり、より快適な生活になっていきますが、便利になればなるほど物に対する依存度も高くなり、その便利さのない生活には戻れなくなります。
この利便性を小学生くらいの年齢に与え続けてしまったらどうなると思いますか?
【楽をするのが当たり前】
になってしまわないですか?
現代社会は便利すぎるんですよ。
ですから、そこに頼りすぎてしまうと、より楽を求めるようになってしまいます。
「歩くこと」すらしなくなれば健康への影響も出てきますし、更に物への依存度が高くなれば、それは過剰なまでの浪費に繋がります。
楽な道に進めば進むほど、自分では何もやらなくなり人に頼めばいいと思うようになる。
この社会では至るところに物が溢れ、そういう人のためにお金という道具を使えばより快適なサービスが受けられるようになっています。
これから先の時代も技術は進歩していきますから、より快適に、より便利にと、新たな製品やサービスが次々と生み出されていくでしょう。
その社会を作っている人はどんな人だと思いますか?
そう、それはこの社会というものの仕組みをよく知り、上手く利用する力のある人達です。
人は新しいものを好みますよね?
そこを求めるのがビジネスで、消費する人がいるから成り立つんですよね。
ですから、私達はこの与えられた利便性に依存し過ぎるのではなく、賢く生きるためにバランスよく使わなければいけない。
そして、子ども達が大人になったら、その利便性を与えられる側に留まるのではなく、生み出す側に行かなければならないのです。
それには子どものうちから備えるべき力を身に付けていくのが大事だと思わないですか?
子どものうちから楽を覚え大人になってしまったら、それこそ生み出す側の思うつぼなんですよ。
私達はそういった人達の作った社会の中で生きているんです……
習慣づけ
中学生になれば、家から学校までの距離によって自転車通学が認められますし、高校生にもなれば電車やバス、場合によってはバイクの利用もできます。
それらは年齢相応に認められていくものです。
ルールを学ばせるのも集団で活動するのも経験させなければ慣れもしません。
これ【家庭でできますか?】
学校という環境がなければ経験できないんですよ。
だから、最大限利用しなければ勿体ないんです。
小学校までの距離は、ウチの息子も近所の子ども達もみんな同じです。
まして、そこから更に500メートル以上離れた場所から通う子だっています。
家が人里離れた場所にあって、自分の子ども一人だけが、とんでもない苦労を強いられる状況なら分かります。
片道1時間も掛けて6年間通うのなら「それは大変だなぁ……」と思います。
しかし、近所には20人以上の子ども達がいて、自分の家から学校まで通うのにみんな【遠いなんて思っていない】んですよ。
みんな自分の家から学校まで毎日通うのが当たり前なんです。
これが【習慣】なんです。
2キロ離れた学校に毎日通うのは大変だから、近い場所に引っ越しましょう……
だって、その方が楽でしょ?
この考え、小中までは通用しても高校以降になったらどうするつもりでしょう?
また、学校の近くまで引っ越すのでしょうか?
いや、恐らく今度は送り迎えをするでしょうね……
子供に楽を覚えさせ続けたらどうなるか分かりますよね?
楽を与え続けるということは、生涯に渡り楽を求めるようになる。
恐ろしいことに、人間は楽を覚えると自分では何もやらなくなってしまうんです。
人生というものは、自分の思い通りにいかないことや、困難な場面に出くわすことが往々にしてありますよね?
それらを打開するには、我慢だったり、自分で解決する力というものが求められます。
この自力という力を付けられるかどうかは、親の行動次第なんです。
人格を形成する上で最も大事な時期である小学生という年齢。
そこで習慣化されたものは、その後の人生に於いてかなりの影響を及ぼします。
このような場面で、楽をしようとする親の思考なんていらないんですよね……