東大受験に塾なしで挑む!底辺家庭の子育て体験談
命を繋ぐ
なるべくしてなる
子どもの頃いつも不思議に思っていた。
「どうして僕にはお父さんがいないのだろう?」
兄が二人いても、どちらも兄でお父さんじゃない。
近所の借家に住む人達はみんな車を持っていて、休日になると家族みんなでどこかへ出掛ける。
運転しているのは大人の男の人。
そう、お父さんだ。
でも、ウチには車も無ければ運転するお父さんもいない。
「ねぇ、お母さん……どうして僕にはお父さんがいないの?」
単純に【いないという事実】が不思議だった。
この気持ちは今でも忘れていない。
幼少期の思い出はどれも辛いものばかりで、鮮明に思い出せるくらい根深く残っている。
人は誰しもが
【なるべくしてなっていくもの】だ。
何もできない人間が、ある日突然何かのスペシャリストになるなんてことはない。
長い時間の蓄積が、その人の形を作っていくものだ。
大好きな家族
俺は、このような存在になってしまったけど、一度だって父や母を憎んだことも、恨んだこともない。
ただ、お父さんにしてほしかったことや、一緒にやりたかったことがたくさんあった。
貧しくて美味しいものが食べられなくてもいいから、家族みんなで食事がしたい。
5分でいいから、一緒に外で遊んだり、散歩をしたり、買い物に行ったりしたい。
冗談言ったり、馬鹿言ったり、毎日の何気ない会話がしたい。
話題なんて何だっていい。
外に落ちてる石ころだって、遠くに見える山のことだって、空に浮かぶ雲のことだっていい。
どんなことでもいいから、たくさん教えてほしい。
覚悟を決めた時、心に湧いてきた感情は、憎しみなんかじゃない。
それは、幼い頃から抱き続けてきた
【僕はどんな時でも家族のことが大好きだ】
という気持ち。
産まれた瞬間から父親や母親のことを嫌う人なんていない。
嫌いになるには必ず理由がある。
多くの場合は、虐待されたり、何もしてもらえなかったりだろう。
子どもはいつだって親のことが大好きなんだ。
そこに理由なんて必要ない。
子どもが親を思う気持ちに嘘がないように、親も子どもを信じ真剣に接することが子育てをする上で一番大切なことなんじゃないのか?
親が子どもに与える影響は計り知れないものがあり、家庭環境と親の教育で子どもの全てが決まると言ってもいいかもしれない。
【子は親の鏡】
正しく育てれば正しく育ち、間違えた育て方をすれば間違えた方向に育つ。
子育ての考え方は至ってシンプルだ。
俺は自分の経験から間違った育て方を知っている。
ならば、子どもの頃に父親からしてほしかったこと、やりたかったこと、その全てをこの子にしてあげるのが正しい子育てだ。
中途半端なことをやっても貧困の連鎖は止まらない。
子どもの能力を最大限伸ばし、世の中の仕事はどれでもできるくらいに可能性を広げてあげるんだ。
【後悔先に立たず】
先を見据えて準備をしておかないと後悔するという戒め。
俺はこの意味を痛いほどよく知っている。
それらは全て先に人生を経験している
親が教えてあげなければ、誰も教えてはくれないのだ。
富も名誉もない俺が、息子に残してやれる資産なんて何もない。
与えてやれるものは18年という親子で過ごす時間しかない。
だから、せめてこの子だけは助かるよう子育てに全てを懸けよう。
俺が父親としてこの子にしてやれることは、それしかないのだから……